クジラメン管理人のとっても私的なブログ、として始め現在では完全私物化、独立を達成した自由気ままなブログ
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眠りから覚めると、覗き込む瞳と生暖かい吐息で思わず身体が硬直するのを感じた。
おはよう
おはようジェラルド
優しい眼。私しか映さないその素直さは気持ちが滅入るほど。
ヴァレリーちゃん
少し残った煙草の匂いに似合わない甘ったるい声。
なあにジェリー
同じトーンで返すのも、眠気が払拭しきれていない今なら容易だ。
愛してるよヴァレリア
私も、と応えられたのはいつまでだろう。或いはいつになったら言えるのだろう。とりあえず恥ずかしそうに身悶えて笑う。
…ヴァレリーちゃん?
時々、虎でも飼った方が楽なんじゃないかと思う。
ヴァレリーちゃん何か考えてたの?
ううん
俺が近くにいたら嫌だ?
なんで?
だって、
しまった。またあの話だ。私はジェラルドの頭を撫でながら目を瞑る。
ローレンス様?
想像する。別れを切り出そうと声をかけたのに、涙が止まらない私の無惨な姿。
何なりと言いつけて下さいね
…ん
いっそのこと殴って下さればいいのに。邪魔だと追い返して下さればいいのに。
スベテワタシガワルイノデス
誰にも聞かせられない。前に進むためには切り裂いてしまうしかないのだから。
ローレンスのこと?
言わなくても解ることをいちいち口に出すなとも言えない。
ヴァレリアは俺の恋人?
……
ローレンスは君のことただのメイドとしか思ってないよ
……
俺ならもっと大事にする
だからさ、だから困るんだってあなたのまっすぐな瞳。
ローレンス様?やはり私では駄目なのでしょうか
呟きながら歩く。あなたのお城で迷子になっても迎えに来てくれるのはジェラルド。
あなたに隠れて、部屋に匿ってる憎めない子猫。
'07*12*02
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